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「漫画」ではなく「WEB漫画」を描くということ

新都社で創作活動を始めて七年が経った
それまでは棒立ちのキャラ絵と設定しか描いたことが無かった。経験の無い状態からいきなりこの世界に飛び込んだ
リアルでもその積極性を発揮すればいいのに、とリアルの僕を知る人は思うだろう。僕もそう思う

とにかく、19の頃からWEB漫画を描いたり読んだりしてきた。(描いた量はそれほどでもないとは言え)経験はそれなりにあるつもりだ。そこから得られる知識もある
僕は天才や秀才ではないし、そんなに努力もしてないが、人様に何かを言えるだけの経験はあると思う

……と、散々予防線を張った上で、WEB漫画を描くということに関して僕が感じたことや心がけていることをこれから書いていきたい
かなり長くなってしまうが、画像を使ってなるべく読みやすくしたつもりだ。時間のある時に読んでほしい。最後までお付き合いいただければ幸い


まず、リアルの生活も含めて得られた一つの考えがある
僕はWEB漫画を読んでいるという人間にほとんど出会ったことがない。最初に自覚する必要がある。2013年現在、WEB漫画の地位はそんなに高くない。WEB漫画を愛読する我々は「漫画おたく」ではなく「パソコンおたく」だ

つまり、WEB漫画とは「漫画」というむしろ「WEB」だ。WEBコンテンツだ。そう考えられれば見えてくるものがある

画像のサイズ、間隔、サイトデザイン、背景色、文字色、文字のサイズ
拡張子は?使ってるサーバーはどこの企業のもの?ページの負荷は?WEBサイトは通常左上から右下に向かって読む。使うものは主にマウス。モニターの解像度には個人差がある。スクロールバーを見れば残りのページ数は予想がつく。印刷しないのだから一種類の画像サイズに固執する必要はない。音楽や動画を「使わない」という決断をしたか?


これらに一切考えをめぐらす事なく描かれた「もの」があるとすれば、それは「WEB漫画」ではなく「入稿前のデータ」だ。新都社ではなく印刷所に行けばいい。「人に読ませる事を考えていない」という可能性もあるが
ここに上げた程度のことなら、反映されている作品は新都社に山ほどある
うましゃく先生の作品郡がオススメだ。多産な上に、作品によってサイトデザインレベルで変えてくるぞ


ドラゴンボールの就職問題コラシリーズを見たことはあるだろうか。通常の漫画のページを縦に繋いだ画像を目にする機会も増えてきた。その時に感じる違和感は気のせいではない
左右のページを繋いで横長の見開きにすることを前提として描かれた漫画の原稿を、縦に繋いで違和感がないはずがない。コマ割によっては、左右どっちのコマを先に読めばいいのか一瞬迷うこともあるかもしれない
見開きには見開きの、縦スクロールには縦スクロールの視線誘導がある

最近はWEB漫画の単行本が出ることも珍しくなくなったが、その時は加筆修正があったり、最初から縦並びでも見開きでも大丈夫なようになっている。なんだかんだ言っても出版社はプロだ。その辺に抜かりはない


また、よく言われる「読みづらいコマ割」として、同じ形のコマを田の字に並べるというものがあるが、
1.png

こうなると、右上から左に進むのか、下に進むのかわからなくなってしまう
この漫画はどの順番でも大差ないけどね

こうならないように段や行をずらす必要があるのだが、これ以上は「漫画の描き方」になる。ここではやらない

また、今一瞬左上から読もうとしてしまった人もいるはずだ。横書きの文章の近くにあるのだから当然。縦スクロールのWEB漫画では、そういう危険性も配慮する必要がある
(当然だが、読む順番が分からないことを利用した作品というのも考えられる。「無自覚にこれをやってしまう」というのが問題なのだ)

そもそも最初からゲーム雑誌みたいに左上から始まる漫画を描くという道もあるが、WEB漫画ではあまり見かけない
あれは左綴じのページをめくり続けるという作業の途中にあるから違和感なく読めるわけで、天からトルテを縦に並べてしまったらやはり読みづらくなるのだろう。たぶん
WEB漫画には「ページをめくる」という肉体感覚を伴う作業がないのだ

ところでドラッグでページをめくるWEB漫画ビューワーがあるが、あれは糞だ
「ページをつまんでめくる」と「右手人差し指を押しっぱなしにして数センチ手を右に移動させ指を放す」が同価であるわけないだろいい加減にしろ。ただの出版業界の自己満足だ
※タッチパネルを使う場合はその限りではない。むしろ適していると言える


そして個人的に一番重要だと思っているのは、画面のスクロールだ
見開きの漫画は、ページを手でめくって読む。一度に見開き全体が視界にに飛び込んでくる。まず全体を見てから、右上に視点を移し、読んでいく
だがWEB漫画は、ファックスのように縦に少しずつスクロールしていく。つまりこうだ


2.png



普段我々はWEB漫画をページ単位で読んでいる気になっているが、そんな事はない。しっかりページ全体が映るようにスクロールし切ってから、「さて右上を見よう」とはならない。スクロール途中で吹き出しが見えたら読み始めてしまう
これを防ぐには、htmlをページの数だけ用意して、クリックで次のページに進むようにすればいいが、少々面倒だ

WEB漫画を描くときには、こういう瞬間が必ず存在することを念頭に置かなければいけない

ここで質問だ。左下に映っている、背中合わせの男女のコマは何コマ目だろう





3.png



答えは7コマ目。実は下にもう一コマあったのだ。これはよくない
(更に言うと、7という数字の位置もよくない。下までスクロールしきってネタが割れる前に答えが見えてしまうからだ)

よくない事が分かってるからこそ、そこを工夫するという思考を持てる
これが大事で、問題を認識していないとそもそも対策が必要だという所にすらたどり着けない


実はこのページ、5から左に進んでも特に支障ない。後から「なんだよ、こっちが先じゃん」と思ってくれればいい

さらに、「自分の出来ることをすればいいんです!!」を読んだ次のスクロールで、「自分の…出来ること……」がすぐ見える。コマとコマの間にまたがっている事から、次は下に進めばいいことが分かる

また、コマの間の空白を使って、右下と左下のブロックを分断している。5コマ目と7コマ目の縦幅がほぼ同じなので、この段差をなくすと田の字並びと同じ迷いが生じる


それに対して、こういうコマ割なら問題はない
フキダシに従って、右上から左上、そして真下にとL字に読んでいけば、少しずつドラゴンの全貌が見えてくるだろう
25-27.png


WEB漫画において、縦長のコマは使い方が難しい。見開きの漫画ではこういうことは起こらない
だから、携帯電子漫画というのは案外良く出来ている。携帯電話の小さい画面と、見開き漫画を読むときの目線の動きをうまくリンクさせている


「見開き」に関する、もう一つの問題がある。まずは以下の二つのリンクを見てきて欲しい。宣伝も兼ねている
見て欲しいのはどちらも後半のページだ。前半は飛ばしてくれてもかまわない


MAID! 第十五話:Row Row Fight the Master!

新都高校デュエル部~三闘神伝説~ 第十九話:Journey through the Decade



上と下は執筆時期に2年の開きがある。上は普通の見開き大ゴマ、下は縦方向への見開きだ

上のような見開きを何度か描いてる内に、違和感を覚えてきた
ずっと縦に読み進めてきたのに、なんで急に横に広がる必要なんかあるんですか、と

そもそも僕は画面左側にブラウザ、右側にMSペイントを開きながらネットを見ることが多い
こういう見開きをされると困るのだ。滅多に使わない横方向へのスクロールバーが出現しているではないか
当然、縦スクロールして最初に表示されるのは左のページだ

「漫画のクライマックスは見開きで描くもの」という固定概念が読みづらさを生み出している。これは個人的な理由だが、僕のWEB漫画に対する考えはこういうところから生まれている


下の見開き(と呼んでいいのか分からないが)は、ページが縦に繋がっている
手塚治虫が最初に始めたとされている「見開き」とは、普段は縦長のページが繋がり横長になることでパノラマ感を演出するものだ
縦スクロールする以上、こう繋がるのが自然ではないだろうか?と考えて描いたのがこれだ
480×1280の画像を作ればいいじゃないか、と思うかもしれないが、改行の数も計算してモンスターの腕が繋がっているように描いたら面白そうだと思ったのでこうした

ここらへんの論調は「印刷しないのだから一種類の画像サイズに固執する必要はない」と矛盾しているが、特に言い訳はしない
「その方がかっこいいと思う」「そうしたかった」というのも理由としては充分だ。「固定概念に捕らわれている」と見るか、「制限があるからこそ工夫が生まれる」と見るかは人次第だ

また、画像が縦に伸びれば伸びるほど、携帯電話から読みづらくなるということもある
携帯からの閲覧を想定してはいないが、僕自身が確認のために携帯から見ることがよくある。画像を伸ばし過ぎると針のようになってしまう


少しマニアックな話になるが、「神・山・満・月・拳」とはオベリスクの巨神兵の攻撃「ゴッドハンドクラッシャー」とアスキーアート「僕は神山満月ちゃん!」のパロディだ
その二つを知っている人間に対しては、「ゴッド・マウント」が最初に見えて「お、オベリスクか?」と思わせた後、スクロールして「満月」が見えて「神山満月やんけ!」というギャグが炸裂する。そういう意味でも、この縦方向の見開きは効果的だと思う

こういうスクロール芸が上手いのはtory_bin先生だ。先に挙げたうましゃく先生と並んで、「WEB漫画(特に新都社方式の縦スクロール漫画)の描き方」では、この二人は頭一つ抜けていると思う。僕が知らないだけで他にもいるかもしれないが



そんなわけで、色々好きに書き殴ってきた。「漫画の描き方」のノウハウは巷に溢れ、すでに成熟しきった感があるが、こういう「WEB漫画の方法論」というのは、まだまだ発展の余地があると思う

裏サンデーやとなりのヤングジャンプが創刊され、WEB漫画原作のアニメも増えてきた
これからWEB漫画という世界がどうなっていくのか、僕も見ていきたい
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漫画の方は失礼ながら未読なのですが、興味深い記事ですね。また来ます。

No title

これからweb漫画を描こうとしてる者ですが参考になりました。

皆様コメントありがとうございます!

僕の作品をお読みいただければ、「理論だけしっかりしていても肝心の内容がつまらなければ結局ダメ」という最後のメッセージが伝わることと思います。
皆様の創作活動の参考になれば幸いです!!

No title

こういう考察はとてもためになります。
僕自身アナログ漫画とのギャップを上手く埋められずにジタバタしてますが、時には開き直ってそれならではの表現を探すのも必要ですね。

桂先生コメントありがとうございます!

たぶん僕はアナログで漫画を描いたことがないから、こういう風に振り切れるんだろうなと思います
まだまだ可能性がある分野だと思うので、ともに頑張っていきましょう!
プロフィール

ジョンドオ

Author:ジョンドオ
関西を中心に活動するダンスカンパニー「男肉 du Soleil」団員の「クリ太マメ男」として活動中
あと新都社にて「新都高校デュエル部~三闘神伝説~」連載中

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